フラット35への疑問解消します
ためらいを示す「どちらともいえない」の多さは無視できないけれども、労働者にとってとくに深刻なテーマというべき閣と倒について「賛成」が「反対」を圧倒して最大比率である。
人事考課や選別の強化に対する正面からの反対運動は、総じて公式組合のレベルではもう組織されないだろう。
能力主義管理の推進は労使間で原則的に合意されているといってよい。
労組委員長たちのこのような能力主義観の背景の一つとしては、すでに彼らの属性が戦後初期とはかなり異なったものになっているという事実をあげることができるかもしれない。
ある調査研究によれば、現在、民間大企業労組の本部委員長は、40%が大卒・旧高専卒、70%近くがホワイトカラーである。
そしてその41%は、退任後「管理職・役員等」として職場に復帰する。
「その他」として職場に復帰する48%も、遠からず管理職に昇進するだろう。
すなわち労組の中央執行委員長は、前項に紹介した労働省委託調査の回答者たちとそれほど異質な人びとではなく、彼らのなかの組合への出向者のようなものなのである。
とはいえ、もちろんユニオンリーダーの発想に、いささかの独自性もみられないわけではない。
委員長たちはおそらく経営者とは異なって、高年者の賃下げにはどちらかといえば反対であり、年齢別最低賃金や「適正格差」のルール化をつよく望んでいる。
他の断片的な資料もおよそ同じ状況を伝える。
たとえば94年夏の連合大阪と関西経営者協会のアンケート調査では、労使ともに多くは「年功だけでなく能力・業績も重視して賃金を決める」(約90%)、「基幹的職務の従事者については今後も終身雇用を重視すべき」(70%以上)という見解であった。
また、95年春の労働省調査(340組合)からは、大企業の労働組合の81%が、「人事評価基準の明確化」や「賃金の最低ラインの保証」などを条件として「年俸制など能力重視型の人事制度の導入」に賛成しているようすがわかる。
以上を要するに、日本のユニオンリーダーたちはいま、能力主義管理の強化に「条件つき賛成」なのである。
けれども、「その条件が守られないときはどうするか」については、立ち入った調査がない。
「その条件の獲得がなければ導入阻止の闘い」というスタンスを、いま労働者は組合に期待できるだろうか?また、能力主義管理の本質である〈個人処遇〉がきびしいとき、一人ひとりの労働者は不当な扱い救済を組合に訴えることができているだろうか?みずからの個人処遇などについて「過去一年間に会社に不平不満を述べたこと」のある労働者は27%ほどである。
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